大阪のすみれ
 最初の資料とした「大阪府植物目録」は「大阪府植物誌」(堀勝、1962)の増補改訂版と言えるとのことです。原則として、掲載した植物には資料標本(証拠標本)があり、一部の例外を除いて、そのほとんどが大阪市立自然史博物館に所蔵されているという記載がありました。こだわりの編集方針と言うことでしょう。
 ただ、大阪府には和歌山県や奈良県との県境に、もう少し別のすみれも自生していると理解していたのですが、まぁ、別の資料もあたってみたら出てくるかも知れません。さて、この書籍には交雑種も幾つか記載されていましたので、参考まで紹介しておきます。ヒメキクバスミレ、ウスゲスミレ、マルバタチツボスミレ、そしてカツラギスミレです、最初のヒメキクバスミレにヒゴスミレxヒナスミレと注釈が付いていますが、両親について不確かなところがあると認識していましたので、ちょっと興味があります。
(2009/08/31)

 大阪府がレッドデータブックと同時に出版した大阪府野生生物目録の総括表がweb上にありましたので、参照させていただきました。コミヤマスミレが顔を出したこと、それから、交雑種のヒメキクバスミレ、ウスゲスミレ、カツラギスミレがやはり登場しています。
(2011/12/22)

 スミレ愛好会の『近畿地方のスミレ類』を入手して更新しました。
(2017/02/05)


種(無茎) 変種または品種 参考資料 補足
アカネスミレ A) C) D)
アケボノスミレ A) C) D)
アリアケスミレ A) B) D)
エイザンスミレ A) D) レッドデータブックに記載
コスミレ A) B) C) D) ヒゲコスミレ
コミヤマスミレ C) D)
シハイスミレ A) B) C) D)
マキノスミレ D)
(シロスミレ)ホソバシロスミレ (D:絶滅と記載) 
スミレ A) B) C) D)
ホコバスミレ D)
ナガバノスミレサイシン A) D)
ナンザンスミレヒゴスミレ A) C) D)
ノジスミレ A) B) C) D) シロノジスミレ
ヒメスミレ A) B) C) D)
フジスミレヒナスミレ A) C) D) 大阪府:準絶滅危惧種
フモトスミレ A) C) D)
マルバスミレ A) C) D) (ケマルバスミレと記載)
種(有茎) 変種または品種 参考資料 補足
アオイスミレ A) C) D)
オオタチツボスミレ A) C) D)
タチツボスミレ A) B) C) D)
タチツボスミレ(山陰型) D) (D:ニホンカイタチツボスミレと記載)
コタチツボスミレ A)
ナガバノタチツボスミレ A) B) C) D) ケナガバノタチツボスミレ
ニオイタチツボスミレ A) B) C) D)
ニョイスミレ A) B) C) D) (A:ツボスミレと記載)
アギスミレ A) C) D) (D:過去に記録あり、現状不明)
ヒメアギスミレ A) B) C) D)
ムラサキコマノツメ B)
種(自然交雑) 参考資料 補足
ウスゲスミレ C) ニオイタチツボスミレ x ナガバノタチツボスミレ
オオミヤスミレ D) ノジスミレ x スミレ
カツラギスミレ C) D) シハイスミレ x ヒゴスミレ
ハリマスミレ D) アリアケスミレ x スミレ
ヒメキクバスミレ C) エイザンスミレ x (不詳)シハイスミレ?
フギレシハイスミレ D) シハイスミレ x エイザンスミレ
ヘイリンジスミレ D) ヒメスミレ x スミレ
種(自然交雑 無名) 参考資料 補足

書籍上、表現が不確かな種に関しては除外し、変種や品種については主要なもののみを選びました 〇=自生確認

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
A) 大阪府植物目録 桑島正二 近畿植物同好会 1990年2月18日
B) 枚方市の植物2002-2006 枚方いきもの調査会植物部会 枚方市 2007年5月
C) 大阪府野生生物目録 大阪府 大阪府 2000年3月
D) 近畿地方のスミレ類 -その分布と形態-(増補改定) 牧 嘉裕・山本 義則 スミレ愛好会 2016年3月1日

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 大阪市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について

 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。

 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。

 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。


(つぶやきの棚)徒然草

 (2009/08/31) Latest Update 2024/08/06 [80KB]

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