この少し派手なイメージがあるすみれは、コスミレとアカネスミレの交雑種であるヒノクマスミレです。この展示品を見た時には、特別な感慨が湧き上がったものでした。実は、この前年の春、東京の山地でヒノクマスミレに出逢っていたからです。正確には、どうも妙な大ぶりのコスミレだなぁと思いながら、自宅に戻った後に撮影した画像を確認して、やっと気がついたのです。
この展示品が醸しだす印象は、東京産の個体と同じでした。しかしながら、葉に違いがあります。この展示品の葉は裏面が茶褐色を帯びていて、典型品に近いものだろうと思います。東京産の個体は、両親がオカスミレとシロバナツクシコスミレと思われ、加えて、この自生地のシロバナツクシコスミレは葉の両面が明るい緑色をしています。それでも、展示品を観察して、山地で出逢ったのはヒノクマスミレであるとの確信を得ました。こんなこともあるのですね。