マルバタチツボスミレ (丸葉立坪菫)
マルバタチツボスミレ
マルバタチツボスミレ マルバタチツボスミレ
上の葉の特徴は、困ったことに、全くアテになりません。

( 左 ) タチツボスミレ(中央) ニオイタチツボスミレ
( 右 ) マルバタチツボスミレ

皆、同じようにしか見えませんね(笑)。
おそらく、それぞれ、血が混じり合っているのでしょう。
千葉県市原市 2008年4月16日

ニオイタチツボスミレ マルバタチツボスミレ
ニオイタチツボスミレ マルバタチツボスミレ
交雑親
タチツボスミレ(奥) ( 2n=20 ) ニオイタチツボスミレ(手前) ( 2n=20 )
ニオイタチツボスミレ(手前)とタチツボスミレ(奥)
  • Viola grypoceras A. Gray
  • Viola obtusa (Makino) Makino
学名 マルバタチツボスミレ Viola x obtuso-grypoceras Makino Published in: J. Jap. Bot. iv. 9 (1927)
生育環境 両親ともに個体数が多く、比較的頻繁に目にする。
ニオイタチツボスミレが明るい環境を好むため、山地の開けた場所や斜面などで見つかる。
分布 国内
海外
補足
花の特徴 形状 形状はほぼ中間的であるが、出現形態に幅があり、つまりバラツキが多い。
通常、赤紫色のニオイタチツボスミレと淡紫色のタチツボスミレの中間色が出る。
花期
花柱
芳香 未確認だが、少し芳香があるとされる。
補足
葉の特徴 形状 ほぼニオイタチツボスミレの特徴をそのまま引き継いでいることが多い。
補足
種の特徴 形状
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本
染色体数
参考情報
その他 形状面ではニオイタチツボスミレに近い個体が多いように感じてしまう。しかしながら、タチツボスミレに近い場合、タチツボスミレの変化と認識して見過ごしている可能性があろう。

 タチツボスミレは個体数では日本で一番多いすみれでしょう。ニオイタチツボスミレも、まぁまぁ普通に見られます。比較的近縁な種でもあり、とても良く見掛ける交雑種です。両者は良く似た面を持ちますが、タチツボスミレの葉は先が鋭く尖るものが普通で、ニオイタチツボスミレは鈍角で明確な違いと言えます。通常、マルバタチツボスミレは、その名から連想できる通りに鈍角な葉先をしており、加えて葉全体も丸いようです。
2008/04/18
 交雑種一般に言えることだと思いますが、両親の中間的な姿をしているとは言え、毛の有無や、色の濃淡等、多くの面でバラツキが出るものです。ここで写真を載せたマルバタチツボスミレにしても、葉先が摘んだように尖っている個体を含んでおり、一表現形だと考えていただくべきものだと思います。
2008/04/19
 マルバタチツボスミレと判断する時のポイントについてご質問をいただいてしまいました(笑)。原則として、多くの点で両親の中間的な特徴を示し、また、ある程度の幅もあります。それを踏まえた上で着目した自分なりのポイントを、以下のように整理してみました。

(1) 葉の形状 標準的な葉の形状は卵形でニオイタチツボスミレに似ている。
(2) 葉先の形状 タチツボスミレは漏斗を逆さまにした形状だが、マルバタチツボスミレは尖らないのが普通。
(3) ニオイタチツボスミレは余り立ち上がらないが、マルバタチツボスミレは少し立ち上がる。
(4) 花色 ニオイタチツボスミレに比較すると淡い色でタチツボスミレに近い。
(5) 花冠の様子 ニオイタチツボスミレに似て丸く開いており、中央部は白く抜けている。
(6) 花弁の形状 ニオイタチツボスミレに似て、全ての花弁が丸い。
(7) 芳香 芳香があるとされる(確認した個体数が少なくて明言できない)。

 ただし、交雑が起こりやすく、かつ、その交雑種が稔性を持つことが多いため、「戻し交雑」が起こりやすいと言われ、両種の遺伝子が複雑に入り組んでいると考えられます。必然的に、両種の中間で多彩な発現形態を持ちますので、これがマルバタチツボスミレと決めてかかるより、かなりの幅を持つと理解した方が適切ではないかと思います。
2008/04/26
マルバタチツボスミレ マルバタチツボスミレ
マルバタチツボスミレ
千葉県千葉市 2010年4月10日

マルバタチツボスミレかな?

(つぶやきの棚)徒然草

 (2008/04/18) Latest Update 2024/08/06 [480KB]

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